社会保険

会社役員の社会保険加入

会社役員も、原則として社会保険の加入対象となります。

ただし、従業員とは異なり、労働時間や賃金といった明確な加入要件はなく、役員報酬の有無や額によって加入の有無が決まります。なお、ここでいう社会保険とは健康保険厚生年金保険のことで労災保険や雇用保険は含まれません。

会社役員の社会保険加入のポイント

  • 役員報酬がある場合:
    • 原則として加入義務があります: 常勤役員であれば、一定額以上の役員報酬がある場合は社会保険に加入する必要があります。
    • 例外: 非常勤役員の場合は、原則として加入義務はありません。
  • 役員報酬がない場合、または少額の場合:
    • 加入義務はありません: 役員報酬が保険料を納付する額にも満たない場合や、全くない場合は加入義務はありません。
  • 一人社長の場合:
    • 会社設立時からの加入が必須: 一人社長も、会社を設立した時点で社会保険に加入する必要があります。

社会保険における役員の常勤・非常勤の区別について

社会保険における役員の常勤・非常勤の区別は、健康保険・厚生年金保険への加入義務を判断する上で重要な要素となります。

常勤役員と非常勤役員の定義

  • 常勤役員:

    • 会社に常時勤務し、経営に関わる業務を主として行う役員です。
    • 出勤日数や勤務時間などが明確に定められていることが一般的です。
    • 原則として社会保険の加入義務があります。
  • 非常勤役員:

    • 会社に常時勤務せず、必要な時に出社して業務を行う役員です。
    • 出勤日数や勤務時間が不定期で、他の仕事や事業を営んでいる場合もあります。
    • 原則として社会保険の加入義務はありませんが、例外もあります。

社会保険加入の判断基準

社会保険の加入義務の有無は、以下の要素を総合的に判断して決定されます。

  • 勤務時間: 週に何日、1日に何時間勤務しているか
  • 業務内容: 会社の経営に関わる業務をどの程度行っているか
  • 報酬額: 役員報酬がどの程度支払われているか
  • 他の仕事との兼ね合い: 他の仕事や事業を営んでいるか

例外的に非常勤役員でも社会保険に加入しなければならないケース

  • 報酬額が一定以上の場合: 報酬額が、社会保険の被保険者となるための最低報酬額以上の場合
  • 業務内容が常勤役員とほぼ変わらない場合: 会社の経営に深く関与し、常勤役員と同様の業務を行っている場合

注意事項

  • 常勤・非常勤の判断はケースバイケース: 勤務時間や業務内容など、様々な要素を総合的に判断するため、一概に常勤・非常勤と断定することはできません。
  • 社会保険の制度は複雑: 社会保険の制度は複雑であり、変更されることもあります。
  • 専門家への相談: 社会保険に関する手続きや疑問点については、最寄りの年金事務所や社会保険労務士に相談することをおすすめします。

まとめ

社会保険における役員の常勤・非常勤の区別は、社会保険加入の義務を判断する上で非常に重要です。ご自身の状況に合わせて、専門家にご相談いただき、適切な手続きを進めてください。

社会保険加入のメリット

  • 病気やケガの際の医療費負担軽減: 健康保険に加入することで、病気やケガをした際の医療費の自己負担割合が減ります。
  • 老後の生活保障: 厚生年金保険に加入することで、老後の生活を経済的に支える年金を受け取ることができます。
  • 障害や死亡時の保障: 障害年金や遺族年金などの受けられる可能性があります。

社会保険加入の手続き

社会保険に加入する際は、以下の手続きが必要になります。

  • 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届の提出: 会社の所在地を管轄する年金事務所に提出します。
  • 保険料の納付: 健康保険料と厚生年金保険料を毎月納付します。

注意事項

    • 役員報酬の変動: 役員報酬が変動した場合には、社会保険の手続きを変更する必要があります。
    • 非常勤役員の場合: 非常勤役員であっても、業務内容や報酬によっては加入が必要になる場合があります。

よくある質問

  • 役員報酬が少額の場合でも社会保険に加入しなければならないことはありますか?

    一定以上の報酬額がある場合は、加入義務が発生することがあります。

  • 非常勤役員が会社に出社する頻度によって、社会保険の加入義務は変わりますか?

    出社頻度だけでなく、業務内容や報酬額なども総合的に判断されます。

  • 社会保険に加入しないとどうなるのですか?

    保険料の滞納や、不正受給などのペナルティを受ける可能性があります。

まとめ

会社役員の社会保険加入は、役員報酬の有無や額によって異なります。加入義務がある場合は、速やかに手続きを行うことが重要です。

さらに詳しく知りたい場合

社会保険の手続きや、具体的な加入要件については、最寄りの年金事務所または社会保険労務士に相談することをおすすめします。

 

この情報が、あなたの疑問を解決する一助となれば幸いです。

もし、他に気になる点があれば、お気軽にご質問ください。

より詳しい情報や、具体的なケースに合わせたアドバイスが必要な場合は、社会保険労務士にご相談することをおすすめします。

ここまでお読みいただきありがとうございました。この情報提供は一般的な知識に基づいたものであり必ずしも個々のケースに当てはまるわけではありません。

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労働時間の短い労働者の社会保険と有給休暇

短時間労働者の特徴と言えば社会保険に加入できないことです。

短時間労働者の社会保険

労働時間が通常の労働者と比べて短い者の社会保険の加入条件は次のようになっています。

雇用保険 週所定労働時間が20時間以上で強制加入。

社会保険(健康保険・厚生年金) 通常の労働者の4分の3以上で強制加入。通常の労働者が週40時間なら30時間以上。35時間なら25.5時間以上で強制加入となります。

労災保険 労働時間に関係なく強制加入(適用除外に該当する場合を除く)

短時間労働者の有給休暇

短時間労働者の場合、有給休暇は比例付与となります。

週の労働時間が30時間未満で所定労働日数が週4日以下(年間所定労働日数の場合は216日以下)の短時間労働者は、その所定労働日数によって、以下のような付与日数が決められています。

週所定労働日数 1年間の所定労働日数 雇入れ日から起算した継続勤務期間(単位:年)
0.5 1.5 2.5 3.5 4.5 5.5 6.5以上
4日 169日~216日 7 8 9 10 12 13 15
3日 121日~168日 5 6 6 8 9 10 11
2日 73日~120日 3 4 4 5 6 6 7
1日 48日~72日 1 2 2 2 3 3 3

例えば、週3日のパートであれば、雇入れ時から半年(0.5年)の時点で5日の有給休暇を付与されます。

なお、パートであっても1週間の所定労働時間が30時間以上あるいは、1週間の所定労働日数が5日以上、または1年間の所定労働日数が217日以上であれば、正社員と同じ有給休暇が付与されます。ここが大事です、たとえ週4日の勤務でも週の労働時間が30時間以上なら正社員と同じ日数が付与されるのです。

パートタイマー(短時間労働者)への社会保険(健保・厚生年金)適用の拡大

平成28年10月より、週の所定労働時間が20時間以上の者にまで適用されることとなりました。

 

 短時間労働者の各保険の適用表

週所定労働時間 30時間以上 20時間以上30時間未満 週20時間未満
厚生年金保険    〇     ◎
健康保険    〇     ◎
雇用保険    〇     〇
労災保険    〇     〇     〇

*  ◎  新規で社会保険の適用になる短時間労働者

以下のすべてに当てはまる者をいいます。

1.週所定労働時間が20時間以上

2.年収が106万円以上

3.月収が88,000円以上

4.雇用期間が1年以上

5.企業規模が従業員501名以上(*平成31年9月30日までの時限措置)

労働者の保険料負担

各種保険料率 新制度導入前 新制度導入後
厚生年金保険料率 0% 18.3%
健康保険、介護保険料率 0% 12%

ということで一気に30%超の負担増(事業主負担15%超の負担増)になります。社会保険加入はいいけれど結構大変です。しかし、負担有るところ給付ありです。特に年金は将来かならず、「ああ、あのときは入れて良かった」と思うはずです。