縁あって結ばれた二人が、別々の道を歩む決断をすることは悲しいことですが、今後の生活を考えると悲しんでいる暇はありません。きちんと話し合いをして財産分与を勝ち取りましょう。財産の中に、今は見えませんが「年金」があります。慌てていると見逃しがちですから、忘れないように。

年金分割の仕組み

年金を2つに分けると行っても、将来もらえる年金を2つに分けるのではありません。厚生年金保険および共済年金の部分の、婚姻期間中の保険料納付実績を分割する制度です。婚姻前の期間は分割されませんし、基礎年金部分も分割されません。

分割制度ができたわけ

夫婦の片方(通常はご主人)が働いて、もう片方(通常は奥様)が家事を行っていた場合、ご主人が厚生年金を全額受給できるのに、奥様は基礎年金のみしか受給できません。婚姻関係が継続しているのならそれでもいいかもしれませんが、離婚してしまっては、これではあまりに不公平ということでこの制度ができました。

こんな場合には要注意

配偶者が自由業の場合は、国民年金のみなので年金分割制度は利用できませんし、共稼ぎの場合はもしかすると逆に年金が減ってしまうかもしれません。(あなたの年金も分割対象です)

そもそも利用できない人もいます

年金受給権が発生しない場合(受給権を得るには原則として,保険料納付済期間,保険料免除期間および合算対象期間の合計が25年以上)年金分割をしても年金が受け取れません。また、離婚後2年を経過してしまうと分割を請求することができません。
以前私のところに「分割制度を知ったのは、最近なのでどうにかなりませんか?」とご相談に見えた方がいらっしゃいましたが法律で決まっている制度なのでどうにもなりません。

弁護士さん相談するという選択

このように忘れてしまっては一銭にもなりません。いろいろやることが多い中、慰謝料とか養育費には気が回っても自分自身のこと、しかも、将来のことにはなかなか気が回らないものです。離婚することを決めたら、多少の費用はかかってしまいますが、弁護士さんに相談するということもお考えになってはいかがでしょうか?

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