所定労働時間と法定労働時間

   

所定労働時間と法定労働時間

法定労働時間は法律で定められた労働時間

法定労働時間とは、労働基準法で定められた労働時間で、1日8時間以内、1週間に40時間以内と定められています。また、1日6時間以上の場合は45分間、8時間以上の場合は1時間以上の休憩を取ることも義務づけられています。

これらは、最低条件であって、実際の労働時間は事業所ごとに定めなくてはなりません。時間外労働(残業など)や休日出勤を行わせる場合は、労使協定の締結と労働基準監督署への届け出が必須です。

所定労働時間とは企業ごとに定める労働時間

所定労働時間とは、企業ごとに定めた労働時間のことです。企業は法定労働時間の範囲内で自由にその所定労働時間を定めることができます。

所定労働時間は、人材の定着率にも大きく影響します。給与が同じであっても、所定労働時間の長さによって、働く人の負担が変わるからです。長時間労働が行われれば、労働者のケガや病気につながる可能性が高まり、負担が大きければ、人材の確保に影響を及ぼすことは容易に想像できます。
労働時間は実務上どんなときに必要になってくるのか具体例を見てみましょう。

月の平均所定労働時間を計算するのは残業代の計算

労務管理のなかでも残業代を計算する上で、月平均の所定労働時間は重要です。平均で求める理由は、月によって労働日数が変わるからです。残業代を計算するときに月ごとに所定労働時間が変わらなくてもいいように、平均で考える必要があります。

年間の所定労働時間を計算しよう

月の平均の所定労働時間を算出するには、まず年間の所定労働時間を計算します。年間の所定労働時間は、1年の日数から年間休日を引いたものに、1日の所定労働時間をかけて算出します。例えば、年間休日日数が115日なら、365から115を引くので、250日となります。所定労働時間が8時間だった場合、250に8をかけて、2000時間となります。

年間の所定労働時間を計算したら、その数字を月数である12で割ると、月の平均所定労働時間が算出できます。前述の例では、2000時間を12カ月で割るので、月の平均所定労働時間は166.6となります。

所定労働時間と残業との関係

企業によって、所定労働時間と法定労働時間が異なる場合もあるでしょう。法定労働時間は8時間ですが、所定労働時間は7時間という場合です。もし、このような場合で社員が8時間の労働をしたら、差にあたる1時間は、残業扱いになるのでしょうか?これは、会社の方針で変わります。残業代は割増賃金に相当しますし、残業の定め方によって給与も変わります。

例えば、「法定労働時間以上の労働を残業と定める」としていた場合は、8時間を超えない場合、「残業扱い」にはなりません。しかし、「所定労働時間以上であれば残業と定める」としていた場合は、1時間分の割増賃金が支払われます。

こうした方針は、就業規則や雇用契約書にきちんと記載しなくてはなりません。

月平均所定労働時間とは

所定労働時間とは、会社が定める労働時間のことです。

月平均所定労働時間とは、1年間の合計の所定労働時間を、12(1年の月数)で割り、1か月あたりの平均の所定労働時間を算出したものです。1年の中には、31日まである月もあれば、30日や28日までしかない月もあります。各月の残業代の計算方法にバラツキが生じないようにするため、「月平均」という考え方を用います。

月平均所定労働時間は、以下の計算式によって算出します。

なお、以下の計算式の「(365日−1年間の休日合計日数)×1日の所定労働時間」で算出した時間のことを、年間所定労働時間と呼びます。

この年間所定労働時間を12で割ったものが、月平均所定労働時間になります。

月平均所定労働時間の計算式

月平均所定労働時間 365日(※)−1年間の休日合計日数)×1日の所定労働時間数÷12か月

※うるう年は、366日として計算

例えば、「1日の所定労働時間が8時間、年間260日勤務(休日105日)」の会社の場合(中小企業に多い)、

(365日−105日)×8時間=2080時間・・・・・年間所定労働時間

2080時間÷12か月=約173時間・・・・・月平均所定労働時間となります。

つまり、この例のような会社では、残業代計算の際の月平均所定労働時間は、173時間となります。

例2

これが、例えば、「1日の所定労働時間が7時間、年間245日勤務(休日120日)」の会社の場合(大企業に多い)では、

(365日−120日)×7時間=1715時間・・・・・年間所定労働時間

1715時間÷12か月=約142時間・・・・・月平均所定労働時間となります。

ここで、

残業代 (基準内賃金/月所定労働時間)×残業時間×割増率

で計算されるので基準内賃金、割増率、時間外労働時間が同じである場合、月平均所定労働時間が多い会社ほど、残業代(残業1時間あたりの単価)は少なくなり、月平均所定労働時間が少ない会社ほど、残業代は多くなる仕組みとなっています。

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