健康診断の種類と労働時間

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健康診断には2種類ある

健康診断には大きく分けて一般健康診断と特殊健康診断があります。一般健康診断とは、職種に関係なく、労働者の雇入れ時と、雇入れ後1年以内ごとに一回、定期的に行う健康診断です。特殊健康診断とは、法定の有害業務に従事する労働者が受ける健康診断です。一般健康診断は労働者の健康の保持増進を目的として行われ、労働とは直接の関係はありませんが、事業主にその実施義務が課せられていることからできる限り所定労働時間に行うことが望ましく、特殊健康診断は、労働内容と密接な関係があることから所定労働時間内に行わなければなりませんし、万が一所定労働時間内に行われなかったときは賃金(割増賃金)が支払われなければなりません。

1 一般健康診断(安衛法第66条第1項)

安衛法に規定されている健康診断で、労働者の一般的な健康診断です。雇入れ時の健康診断や、1年以内に1回以上の受診が必要な定期健康診断は、この一般健康診断に分類されます。40才以上の方に行う健康診断と特定健診(いわゆるメタボ健診)の違いは視力・聴力・胸部X線・心電図および貧血の検査が特定健診にはありません。従って、特定健診を自分で受けたからといって、その結果を提出しても会社が行う健康診断を受けなくて良いと言うことにはなりません。

2特殊健康診断

2-1 有害業務の特殊健康診断(法第66条第2項)

安衛法やじん肺法に規定されている特定の有害業務に従事する労働者を対象とする健康診断です。労働安全衛生の観点から行われるもので、有害業務が健康に与える影響を調べたり確認したりします。

2-2 有害業務の歯科医師による健康診断(法第66条第3項)

歯またはその支持組織に有害なガス、蒸気、粉じんを発散する場所での業務に常時従事する労働者を対象に実施します。具体的には塩酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、フッ化水素、黄りん等のガスを発生する場所における業務を言う。

2-3 通達による特殊健康診断

業務の種類によって、法令に規定されている健康診断とは別の健康診断として行政から受診を勧奨されているものです。強制的なものではありませんが、必要な人には受診させておくべきです。

一般財団法人全日本労働福祉協会のHPに詳しく掲載されています。

健康診断は業務時間に行うべきか?

これらの健康診断を労働時間内に受診するべきなのか、あるいは、労働時間外に受診すべきか?という点について考えてみましょう。それには、次のような通達が出ています。

健康診断の受診に要した時間についての賃金の支払い(昭和47年9月18日、基発第602号)

健康診断の受診に要した時間についての賃金の支払いについては、労働者一般を対象とする一般健康診断は、一般的な健康の確保を図ることを目的として事業者にその実施を義務づけたものであり、業務遂行との関連において行われるものでは無いので、その受診に要した時間については、当然に事業者の負担するべきものではなく、労使協議して決めるべきものであるが、労働者の健康の確保は事業の円滑な運営に不可欠な条件であることを考えるとその受診に要した時間の賃金を事業者が支払うことが、望ましい。

特殊健康診断は事業の遂行に絡んで当然に実施しなければならない性格のものでありそれは所定労働時間内に行われることを原則とする。また、特殊健康診断の実施に要する時間は労働時間と解されるので、当該健康診断が時間外に行われた場合には、当然割り増し賃金を支払わなければならない。

健康診断に要した時間の考え方

この通達を簡単に言い換えてみます。

1 一般健康診断

一般健康診断は、特殊健康診断とは異なり、すべての会社ですべての労働者を対象(パート等を除く)に行われるものです。雇入れ時健康診断と定期健康診断が代表的なものです。一般健康診断は、使用者に実施義務があります。健康に労働を行うために行われます。

しかし、業務との直接の関連はないので健康診断を業務時間内に実施するか、業務時間外にするかはそれぞれの会社ごとに決めることになっています。「当然には事業者が負担すべきものではなく」というのは、会社が賃金を支払わなければいけないと決まっているわけでは無い。しかし、会社には健康診断の実施義務があるので、業務時間内に実施する、もしくは賃金を支払うことが適当だと思います。また、従業員の健康を確保することは、会社を運営するにも必要なことですから、それに要した時間に賃金を払う方が適切と思います。

2 特殊健康診断

危険または有害な業務として法で定められている職業には特殊健康診断が必要で、事業主の責任で当然に実施すべきものです。

一般健康診断とは違い、特殊健康診断は有害とされる業務を行う上で必要な健康診断なので、業務の一環として所定労働時間内に行うことが原則です。ですから、業務時間外に行った場合には、賃金(割増賃金)の支払いが必要です。

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