労災特別加入

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労災保険特別加入制度とは

労災保険は、本来、労働者の負傷、疾病、障害または死亡に対して保険給付を行う制度ですが、労働者以外の方のうち、その業務の実状、災害の発生状況などからみて、特に労働者に準じて保護することが適当であると認められる一定の方に対して特別に任意加入を認めているのが、特別加入制度です。
特別加入には、次の4種類があり、それぞれその加入者の範囲、加入要件、加入手続き、加入時健康診断、業務上外の認定基準(保険給付の対象となる災害の範囲)などが異なっています.

船舶所有者の方の特別加入(平成22年1月~)

平成22年(2010年)1月1日から船員保険の職務上疾病および年金部門が労災保険に統合されました。船舶所有者の方に使用されている労働者たる船員の方は引き続き補償されますが、船舶所有者の方(中小事業主または労働者を雇用していない方)は今まで受けていた業務上の事由または通勤によるけがや病気に関する補償を受けるには労災保険に特別加入する必要がありますのでご注意ください。
なお、船員保険の上乗せ給付は労災保険が支給されていることが要件になります。

特別加入者の種類

  • 中小事業主(第1種特別加入者)
  • ひとり親方その他の自営業者(第2種特別加入者)
  • 海外派遣者(第3種特別加入者)
  • 特定作業従事者(第2種特別加入者)

第1種特別加入者とは

第1種特別加入者とは中小事業主及びその事業に従事する者をいいます。
特別加入することができる中小事業主は次の規模で、労働保険事務組合に労働保険事務処理を委託する者に限られます。

特別加入できるもの

  1. 下記の特定事業の中小事業主
  2. 下記の特定事業に従事する者
    家族労働者や法人企業の代表権をもたない役員など
    ただし、その実態が労働者と同様である者は労働者として通常の労災保険に加入し、特別加入はしない。

特定事業(特別加入できる事業主の範囲)

•金融業、保険業、不動産業、小売業    常時50人以下の労働者を使用する事業主
•卸売業、サービス業          常時100人以下の労働者を使用する事業主
•その他の事業             常時300人以下の労働者を使用する事業主

特別加入の要件

  1. その事業について、労災保険に係る保険関係が成立していること。
  2. 労働保険の事務処理を労働保険事務組合に委託していること。
  3. 中小事業主及びその事業の従事者を包括して特別加入すること。

解説:従業員のいない企業の中小事業主は特別加入できない(事業主単独では加入できない)ということです。

第2種特別加入者とは

第二種特別加入者(一人親方等)
①一人親方その他の自営業者及びその者が行う事業に従事する者
②特定作業従事者

特別加入するには
①一人親方等及び特定作業従事者が構成員となる団体を通じて特別加入すること。
(当事務所は神奈川SR経営労務センター労働保険事務組合に加入しています)
②一人親方等及び特定作業従事者を包括して加入すること。

一人親方とその他自営業者とは

次の事業を労働者を使用しないで行うことを常態とする者をいう。

  • 旅客又は貨物の運送の事業
  • 建設の事業
    (破壊、解体又はその準備の事業を含む)
  • 漁船による水産動植物の採捕の事業・林業の事業・医薬品の配置販売の事業・再生利用目的の廃棄物等の収集、運搬、選別、解体の事業 

特定作業従事者

  • 特定農作業従事者
  • 指定農業機械作業従事者
  • 職場適応訓練従事者
  • 事業主団体等委託訓練従事者
  • 危険有害作業の家内労働者等
  • 労働組合等常勤役員
  • 介護作業従事者

第2種特別加入の要件(第2種特別加入者)

  • 一人親方等及び特定作業従事者が構成員となる団体を通じて特別加入すること。
  • 一人親方等及び特定作業従事者を包括して加入すること。

第3種特別加入とは(第3種特別加入者)

第三種特別加入者とは海外派遣者で労災保険に特別加入するもののことを言う

①独立行政法人国際協力機構など開発途上地域に対する技術協力の実施の事業(有期事業を除く)を行う団体から派遣されて、開発途上地域で行われている事業に従事する人

②日本国内で事業(有期事業を除く)を行う事業主から派遣されて、海外支店、工場、現場、現地法人、海外の提携先企業など海外で行われる事業に従事する労働者

③日本国内で事業(有期事業を除く)を行う事業主から派遣されて、海外にある中小規模の事業(表1参照)に従事する事業主およびその他労働者以外の人。

派遣される事業の規模の判断については、国ごとに、企業を単位として判断します。例えば、日本に本社があって海外に事業場をもつ企業の場合には、日本国内の労働者も含めると総数では表1の規模を超える場合であっても、派遣先のそれぞれの国の事業場において表1の規模以内であれば特別加入することができます。

表1 中小企業の範囲

  • 金融・保険・不動産・小売業・・・・・・・・・・・・・50人以下
  • 卸売り・サービス業・・・・・・・・・・・・・・・・100人以下
  • それ以外の業種・・・・・・・・・・・・・・・・・・300人以下

第3種特別加入の要件

  • 国内の派遣元の団体又は事業主の事業について、労災保険に係る保険関係が成立していること。
  • 国内の派遣元の団体又は事業主の事業が継続事業であること。この場合は、包括加入の必要はない。

第3種特別加入者の給付基礎日額と保険料

  •  給付基礎日額とは、労災保険の給付額を算定する基礎となるもので、25000円から3500円までのうち申請に基づいて労働局長が決定します。
  • 年間保険料は、保険料算定基礎額(給付基礎日額×365)に保険料率(3/1000)を乗じたものとなります。(平成27年改訂)

第3種特別加入者の保険給付・地位の消滅

  •  海外出張の場合特別加入なしに労災保険の対象になりますが、海外派遣の場合は特別加入しなければ労災保険の対象にはなりません。
  • 中小企業の代表者として派遣される場合は、おおむね国内における第1種特別加入者と同様の補償になります。
  • 海外勤務特有の条件があります。詳細はお問い合わせください。
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