キャリアップ助成金

キャリアアップ助成金正社員化コースの申請手順

企業の成長と従業員の幸せを両立させたい事業主には、大変人気のキャリアアップ助成金正社員コースですが、思いつきで申請しても決して通りません。採用する時点で準備ができていればよいのですが、そうはいかないことも多いですね。採択されるためには一定の手順に従って計画的に準備する必要があります。本稿ではその準備の仕方を見ていきましょう。インターネットで調べたり助成金専門の社労士さんのYOUTUBEを見てもよくわからなかったあなたもきっとやり方がわかるようになると思います。
今回もキャリアップ助成金のパンフレットにしたがって解説していきます。

キャリアップ助成金申請までの流れ

ここで大事なのでまず計画を提出するということですね。計画を出さないことには何も始まりません。計画は取り組みを始まる前に提出して印をもらわないとたとえ後が完璧でも「計画を提出してますか?」といわれてもう後の祭りです。もう一つ注意するのは、採用後6ヶ月ではないということですね。※2に書いてることを見落とさないようにご注意ください。正社員と異なる区分の就業規則の適用を受けてないといけないのです。就業規則の改定が採用後に行われた場合は採用の日から6ヶ月後ではなくなります。最後に、※3にあるようにコースごとの要件を満たす必要があります。お気づきのようにこの助成金の狙いは就業規則を整備させることにあります。正社員と非正規社員の要件を就業規則にきちんと整備させ労務管理させるのが狙いです。当然、助成金支給後のチェックでもそのあたりがチェックされると思われますので就業規則は作ったが実際はその通りに運用できていない会社は申請しない方が無難でしょうね。まず、そのあたりから頭を切り換えていきましょう。

右側の方に書いてあるとおり就業規則の作成や改訂についての相談にもハローワークや都道府県助成金センター?でものってくれるそうなので頼ってみてもよいかもしれません。実際に作ってはくれないでしょうけどアドバイスはくれると思います。

では、キャリアアップ計画の作成を見ていきましょう。

キャリアアップ計画書の作成

計画書の入手方法

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html

こちらがキャリアップ助成金のページになります。こちらからダウンロードしてください。窓口でもいただけるのかな?とおもいますが、今ではダウンロードが一般的ですか。ついでに何か聞きたいことがある方は窓口に赴くのもよいかもしれません。ハローワークは窓口によっては混んでいるかもしれないのでお電話してからの方がよいと思います。

記載方法

提出日

宛先:たとえば東京都の場合東京労働局長、神奈川県なら神奈川労働局長

事業所名

使用者側代表者名

労働組合等の労働者代表者氏名

を記入。ここは問題ないですね。

労働組合無いよ。って会社は労働者の話し合い等で代表者を決めてもらえばよいですね。36協定の時と同様使用者の指名によるものはNGと心得てください。

労働者からの意見の聴取方法もいずれかを選択してください。

2カ所のチェックボックスにチェック入っているか確認です。

2枚目です。事業所の情報キャリアアップ管理者の情報を記入していきます。

事業所の情報は適用事業所台帳(雇用保険適用事業所設置届け事業主控え)や労働保険保険関係成立届けを見て記入してください。
キャリアップ管理者は要件に合致した方を選任しましょう。
キャリアアップ管理者の要件
①事業所の労働者事業主役員のいずれかであること
②他の事業所ですでにキャリアップ管理者になっていないこと(兼任不可)
③労働組合等の労働者の代表者ではない者

キャリアップ管理者の仕事はそこに書いてあるように当てはまるものすべてにチェックです。上から4つはチェックほしいですかね。

続いて3枚目です。計画期間とコースを選択します。
コースは正社員化コースに○をつけてください。

計画期間は3年以上5年以内。開始日は提出日以降の日付です。正社員化コースの下の括弧書きは限定正社員制度を設けない場合は正規雇用に○です。
もう一息です。がんばりましょう。

こちらは該当するところにチェックを入れるだけですね。

これで計画書は完成です。よく見直したら、提出してください。お疲れ様でした。
次はいよいよ取り組みを行ったら支給申請をします。
 

キャリアアップ助成金正社員化コースの概要

キャリアアップ助成金正社員コースとは

キャリアアップ助成金正社員化コースは、非正規雇用労働者を正社員に転換することで、従業員のキャリアアップを促進する事業主を支援する、企業の成長と従業員の幸せを両立させたい事業主にとって、非常に魅力的な制度です。

キャリアアップ助成金を申請できる事業主

  1. 雇用保険適用事業所の事業主であること
  2. キャリアアップ管理者を配置していること
  3. キャリアアップ計画を作成し、労働局長の認定を受けていること
  4. 実施するコースの対象労働者の労働条件、勤務状況および賃金の支払い状況等を明らかにする
    書類を整備し、賃金の算出方法を明らかにすることができる事業主
  5. キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだ事業主
    (支給申請時点で各コースに定めるすべての支給要件を満たしている事業主)

ここで重要なことは(全部大事ですが、)キャリアップ計画書を作成して労働局長の認定を受けていることでしょうか?
認定を受けていないとどんなよい取り組みでもだめなのでもったいないです。
後、帳簿の整備は重要です。

次の事業主は申請できません。

①支給申請した年度の前年度より前のいずれかの保険年度の労働保険料を納入していない事業主
(支給申請後、滞納していることの通知はしませんので、ご確認の上で申請してください。)
② 支給申請日の前日から過去1年間に、労働関係法令の違反を行った事業主
③ 性風俗関連営業、接待を伴う飲食等営業またはこれらの営業の一部を受託する営業を行う事業主
④ 暴力団と関わりのある事業主
⑤ 暴力主義的破壊活動を行った、または行う恐れがある団体等に属している事業主
⑥ 支給申請日、または支給決定日の時点で倒産している事業主
⑦ 支給申請時または支給決定時に、雇用保険適用事業所の事業主でない※事業主

暴力団関係者でないとか風俗産業関連でないとかに加えて、過去1年間法違反がないということが重要かなと思います。もちろん保険料をきちんと納めていることも重要です。助成金を受けるためには日頃の労務管理を国が定める方法で行う必要があります。

中小事業主とは

キャリアアップ助成金における中小企業の範囲(出典キャリアアップ助成金パンフレット令和6年版)

キャリアップ助成金の種類

キャリアップ助成金には

  1. 正社員化コース
  2. 賃金規定等改訂コース
  3. 賃金規定等共通化コース
  4. 賞与・退職金制度導入コース
  5. 社会保険適用時処遇改善コース

があります。いずれも非正規社員の待遇を改善すると支給されるものです。ここには正規・非正規の待遇差を無くしていきたいという国の政策が見て取れます。それに対応した会社に助成金は支給されるのです。助成金は一度きりですが、待遇改善は未来永劫に続きます。そこの所をよく考えて支給申請をしましょう。

キャリアアップ助成金正社員化コースのメリット

  • 人材の定着率向上: 正社員化することで、従業員の離職率を下げ、安定した労働力を確保できます。
  • 従業員のモチベーション向上: キャリアアップの機会を与えることで、従業員のモチベーションを高め、生産性の向上に繋がります。
  • 企業のイメージアップ: 社会貢献活動の一環として、正社員化を推進することで、企業のイメージアップを図ることができます。
  • 助成金による経済的な支援: 国から助成金を受け取れるため、正社員化に伴うコスト負担を軽減できます。

キャリアアップ助成金正社員化コースの支給額

一人あたりの助成額は以下の通りです。

有期雇用労働者を正社員にした場合・・・・・・中小企業80万円(40万円×2期)、大企業60万円(30万円×2期)

無期雇用労働者を正社員にした場合・・・・・・中小企業40万円(20万円×2期)、大企業30万円(15万円×2期)

ただし、1事業所あたりの支給申請上限人数20名

加算額

いろいろと就職に不利な条件がある方を正社員化すると加算額があります。

派遣労働者を派遣先で正社員として直接雇用する場合・・・・・・28万5000円

対象者が母子家庭の母等または父子家庭の父の場合(有期労働者を正社員化したとき)・・・・・95000円

対象者が母子家庭の母等または父子家庭の父の場合(無期労働者を正社員化したとき)・・・・・47500円

人材開発助成金の訓練(下記以外)終了後に正社員化した場合(有期労働者を正社員化したとき)・・・・・・95000円

人材開発助成金の訓練(下記以外)終了後に正社員化した場合(無期労働者を正社員化したとき)・・・・・・47500円

人材開発助成金の訓練(自発的職業開発訓練または定額制訓練)終了後に正社員化した場合(有期労働者を正社員化したとき)・・・・・・110000円

人材開発助成金の訓練(自発的職業開発訓練または定額制訓練)終了後に正社員化した場合(無期労働者を正社員化したとき)・・・・・・55000円

正社員転換制度を新たに規定し、当該雇用区分に転換等した場合(1事業所1回のみ)・・・・・・・20万円(大企業15万円)

多様な社員制度を新たに規定し、当該雇用区分に転換等した場合(1事業所1回のみ)・・・・・・・40万円(大企業30万円)

※多様な正社員制度とは勤務地限定・職務限定・短時間正社員いずれは1つ以上の制度

 

申請編に続く