割増賃金(残業代)の計算に含まれない賃金がある

      2019/09/02

割り増し賃金の計算の基礎となる賃金とは

なぜ割増賃金を支払う必要があるのか

使用者は、労働者に時間外労働、休日労働、深夜労働を行わせた場合には、法令で定める割増率以上の率で算定した割増賃金を支払わなければなりません。(労働基準法第37条第1項・第4項、労働基準法第37条第1項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令)労働基準法では労働時間は一日8時間、1週間に40時間以内と定められていますが、労使協定を結べばそれ以上の時間労働させることができます。その際に、罰則的な意味合いを含めて割増賃金の支払いが必要であると定めています。

事業主にとっては割増賃金(残業代)の支払いは大きな負担です。時間内にすべての作業が終われば不要な経費ですし、もし、割り増しで無くてもいいなら、25%も安くすみます。この25%の割り増しには罰則的な意味合いがあると上にも書きましたが、どういうことでしょうか?

それは、事業主に労働時間の削減を意識させようとしているのです。長時間労働は肉体的な疲労の蓄積だけでは無くメンタルヘルス面での弊害も指摘されています。長時間労働を抑制するために割増賃金の支払いを義務づけるのです。

割増賃金率

法律で定められている割増賃金率は

  • 時間外労働・・・・・25%以上(1ヶ月60時間を超えるときは50%以上(*1))
  • 休日労働・・・・・・35%以上
  • 深夜労働・・・・・・25%以上

*1中小企業については当分の間25%以上

働き方改革により中小企業であっても2023年4月1日以降は月60時間を超える時間外労働に対して50%以上の割増率となります。なおなお、割増賃金の未払いに関しては労基法119条が適用され6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金となります。人手不足により長時間労働が慢性化している中小企業には厳しくなりますが、長時間労働を続けていては新規採用もままなりません。(令和元年(2019年)8月追記)

 

おわかりのように「以上」なのでこれ以上支給しても良いのです。なかなか余計に出すところはありませんが。時間外労働が休日に行われた場合はそれぞれの割増率を加算して60%以上、深夜時間帯(午後10時から午前5時)の時間帯に行われた場合は50%以上の支払いになります。

割増賃金の計算方法

割増賃金の額は次の計算式により算出します。

割増賃金額=1時間あたりの賃金額×時間数×割増賃金率

1時間あたりの賃金額は次のように計算します。

1時間あたりの賃金額=月の所定賃金額÷1ヶ月の所定労働時間

ここで

1ヶ月の所定労働時間=(365-所定休日数)×1日の所定労働時間÷12(原則)

各月の所定労働時間は労働日数などで変動します。そうすると割増賃金の計算の基礎となる所定労働時間を毎月計算しなければならず、面倒なので1年間を平均したものを計算上使用しています。なので正しくは月平均所定労働時間ということになります。なお、変形労働時間制を採用している場合などは原則通りには行きません。

割増賃金の基礎とならない手当

割増賃金に基礎となるのは所定労働時間の労働に対して支払われるものなので「労働と関係の無い手当」については算入しないことができます。(労働基準法第37条第5項、同施行規則第21条)下記の手当は限定列挙といい、ここにあげられているもの以外はすべて算入しなければなりません。

  1. 家族手当
  2. 通勤手当
  3. 別居手当
  4. 子女教育手当
  5. 住宅手当
  6. 臨時に支払われた賃金
  7. 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金

なお、1から5の手当については同じ名称であっても算入しないことができるものとできないものがあります。

 

 

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